「本当に大きな支えのような人でした」
こう話すのは、私たちのリモート・インタビューに
答えて下さった女優の竹下景子さん。
去年春に亡くなった信濃町在住の作家、CWニコルさんの思い出と
森のこれからを「news every.」で語って頂いた。

【新緑が淡い信濃町・アファンの森/5月14日撮影】
✤
ニコルさんと古くから親交のあった竹下さん。
「訪ねるたびにアファンの森が変わっていなあと感じながら、
ニコルさんには本当に色々なことを教えてもらった。
ああ、もっとたくさん伺っておけばよかったなと思って」
(竹下さん談)

竹下景子さんが朗読する詩「森の祈り」をWebで拝見した。
「森の祈り」はニコルさんが遺した最後の言葉だという。
それが竹下さんの深く柔らかな声に乗って伝わってくる。
ぜひ皆さんにも視聴いただきたい一本だ。
(✤一般財団法人「C.W.ニコル・アファンの森財団」HPから視聴)



5月半ば、取材クルーとともに森を訪ねた。
風と渓流の音、鳥の声しか聞こえない森を歩いていると、
ふっと木の陰からニコルさんが出てきそうな気配がある。
「ニコルは森になった、森に還ったと我々は思ってます」
案内してくれた財団スタッフのOさんが穏やかに笑った。
そうか、その辺にいるんですね、ニコルさん。
そう思うと、寂しさも少しばかりやわらぐ気がする。
当初の案は英字表記の「KAIGO」だったのだが、
見た目の分かり易さとシンプルさなどを理由に
「介護」という漢字表記にタイトルは落ち着いた。

車椅子のお年寄りと向き合う写真右側の男性が
主人公のロフマンさん。インドネシア出身の介護士だ。
13年前に来日、上田市の施設で働きながら学び、
日本の介護士資格を取得した。
だが、ほどなくして彼は信州を離れることになるのだが。
✤
あす放送のドキュメンタリー「チャンネル4」は
13年間にわたる継続取材がかたちになった。
そこから見えてくるのは、海外の人材に頼らざるを得ない
日本の介護の現実。さらには、いつまで彼ら彼女たちに
頼り続けられるのかという、ある種のジレンマである。
「介護」という仕事も言葉も、ロフマンさんの国には存在しない。
そのことに改めて驚かされた。
私自身が老いる頃、この国に「制度としての介護」は残っているのか?
そんなことさえ考えさせられる。
✤
●番組:「チャンネル4~ロフマンと介護」
●放送:5月22日(土)午前9:30~10:25
ナレーター:小山茉美
ディレクター:久和健一郎
音効・MA:大沢しおり
プロデューサー:伊東秀一
●番組ホームページはこちら↓
https://www.tsb.jp/bangumi/ch4/
先日、北陸新幹線に乗った知人によると
「車両、貸し切りでした」とのこと。
往きも帰りも、1車両内に同行者との2人だけだったらしい。

【長野駅を発つ北陸新幹線(上り)/午後7時39分撮影】
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一方で、普段から東京~京都間を仕事で往復している
大学の先生から聞いた話である。
以前の緊急事態宣言中、「半分以上は空席だったかな」。
それが宣言期間が明けた途端、車両のデッキまで
立ち客でいっぱいだったという。
「宣言の効果・効力」と、その先生は呼んでいた。
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今月末まで延長されている緊急事態宣言。
気になっているのは、これが明けた後がどうなるかということ。
宣言下とはいえ、1回目ほど人の動きは減ってはいない。
地方都市である地元を見ていてもそれは分かる。
人の多さ、変異株、少なくはない新規感染数等々。
日常的に社会的接触が多い世代にまで
ワクチンだってまだ行き渡っていない。
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延長期間が明けた先にどんな状況が待っているのか。
不安なのは心配性の私ばかりではない気がする。
ゴールデンウィークが去ったのと同時に
春も遠ざかったかな、という印象です。
シャツの袖をまくって歩いた昨日は、
はや初夏の気配がしました。
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なんとなく慌ただしかったこの1か月。
「往く春」を写真でちょっと回想......。

【五輪の聖火が通過した直後の長野市新田町交差点/4月1日 19:43】

【散り終えたソメイヨシノ/信州大学工学部 4月5日】

【マイカーでの移動中、走行距離計が「123456」に!】
29.5日おきに巡ってくる天空の月にも
それぞれ名前があることを教わった。
4月の満月を「ピンクムーン」と呼ぶらしい。
「桜色がひろがる季節にのぼる満月だからピンク。
4月だけの呼び名なんですよ」とは
鈴木智恵・気象予報士からのご教示である。

【長野市の空にのぼったピンクムーン/27日午後10時前】
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ものの本で調べてみると、アメリカ先住民がこう呼んだらしい。
一部を挙げてみると・・・・・・
1月=ウルフ(狼が腹を空かす時季)ムーン
6月=ストロベリー(苺の熟す時季)ムーン
10月=ハーベスト(収穫の頃)ムーン・・・等々
季節と一緒の生活感が伝わってくる名称に暫し感心。
✤
以下余談。3年ほど前の冬、善光寺門前で
劇作家・唐十郎さんの劇団員の女優さんと対談した折、
彼女が朗読した作品が「満月の中の満月」(唐十郎作)。
「バドリルブドゥールって読むんですよ、これ」
満月を、アラブの言葉でこう呼ぶのだと教わった。
月の名前は実に奥深い。それにしても、寒い月夜だ。