2025/04/04 店の記憶、街の記憶

子供の頃、共働きだった両親がよく口にしていた。

「長く使うもの、イイものを買おうと思った時は、

 長野ならあの店とこの店。松本だったらこことそこ......」。

今週月曜で閉店した松本駅前の「井上本店」は、

そのうちの一軒であったと記憶する。

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所用で松本市内へ出かけたきのう、店舗前まで足を延ばしてみた。

シャッターが降り、人通りのほぼない舗道はやはり寂しかった。

           ◇

私は憶えていないのだが、公務員を定年退職した当時の母が

「昔、あなたを連れて松本までスーツを買いに行ったのよ」

と懐かしそうに話していた。

店が人の流れを作り、街の顔も作っていく。

その店がなくなることは、街の顔も同時に変わることを意味する。

母の記憶の中にある松本駅前は、どんな顔をしていたのだろう。

いつか訊いてみたい気がする。