2021/01/05 初仕事は「教室」

 私にとっての今年の仕事始めは

ドキュメンタリーのナレーション収録。

ですが、いつもの収録とはちょっと違いました。

現役の女子大学生の「語り」と半分ずつ、なのです。

IMG_0748.jpg

 録音ブースのモニターに映るのは高校の教室から見えるイチョウ。

語りをつとめる大学生・西尾遥さんは、去年この高校を卒業したばかり。

             ✤

 番組では、45年前の卒業生と担任が母校の教室に集います。

それも同級会ではなく「ホームルーム=HR」というかたちで。

この取り組みが、なぜ十年以上も続いているのか?

当時、高校の放送委員だった西尾さんがHRを取材した

映像を織り交ぜながら物語は進んでいきます。

やがて、授業でも同窓会でもない「HR」であることの意味が

見えてきます。そこに集う先生と生徒の思いも。

そして・・・・・・。

             ✤

 教室という空間に帰りたくなる一本。そう感じました。

高校卒業1年目の現役大学生・西尾さんの語りと、

高校卒業37年の小生のナレーションのコラボにも

耳を傾けていただければ幸いです。

             ✤

●「チャンネル4 黄葉(こうよう)伍朗ちゃんがいる教室」

●1月9日(土)午前9:30~10:25

(※テレビ信州×松本深志高校放送委員会 共同制作) 

             

2021/01/04 太郎の屋根に

 たいして働いたわけでもないのですが、

年末年始にやった雪かきの筋肉痛が

今頃になって襲ってきている始末です。

またひとつ年(齢)をとったか、と実感。

降りしきる雪の中、

ひたすらスコップを動かしていたら、

昔読んだ一節が不意に思い出されました。

         ✤

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降りつむ。

次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪降りつむ。

     (三好達治「雪」1930年)

IMG_0743.jpg

 この年末年始、子や孫の顔を見るのを待ちわび、

叶わなかった大人たちがどれほどいたことか。

父母や祖父母と一緒に卓子を囲めなかった

子供たちがどれほどいたか、と考えます。

         ✤

 新しい年は、多くの太郎や次郎たちが

普通に家族と会える年になってくれたら。

そんなことを思っています。

 今年もどうぞ宜しくお願いたします。

2020/12/27 神様に会った日

 10年ほど前のこと。ピアニストは松本市内の映画ロケの現場を訪れ、

その直後に市内のホールで行われたテーマ音楽の収録に臨んだという。

「実は"一発録り"だったんです」

そう話すピアニストは、まるで昨日の事のように嬉しそうだった。

先週のクリスマス、辻井伸行さんに初めてお目にかかった。

IMG_0734.jpg

 "コロナの年"を締め括るツアーリサイタルの最終日が信州・松本。

しかも、かつて映画音楽を収録した同じホールでというご縁。

この日、私は「演奏家が考えるコロナと音楽」というテーマで

リサイタル直前の辻井さんにお話を伺う機会を得た。

             ✤ 

 動画配信や無観客演奏など、様々な試行錯誤を経てようやく

秋頃から観客のいる場でピアノが弾けるようになった。

そのことが今とても嬉しいのだと辻井さんは話して下さった。

 そして「news every.」のカメラの前で自ら選んで弾いた1曲が

映画『神様のカルテ』エンディングテーマ(辻井さん自身の作曲)。

かつて同じホールで"一発録り"したというあの作品だ。

             ✤

 演奏時間4分14秒。立ち会った私には夢のような時間だった。

2台のテレビカメラが回るステージ上で辻井さんは、

またしても"一発録り"で収録を終えた。 

             ✤

「コロナで人同士の距離が離れてしまうけれど、

 でもせめて気持ちだけは近くに寄り添えたら。

 音楽ならそれをつなげると思うんです」  

             ✤

 2020年のクリスマス。私は音楽の神様に出会えたと思っている。       

2020/12/21 街の余韻

 おととい放送の「渡部陽一のまつもとフォト散歩」、

ご覧いただいた皆様、ありがとうございました。

きょうは、ロケのこぼれ話をちょこっと。

IMG_0712.jpg

 このマスクのワンポイント、なかなか粋だと思いません?

蔵の街として知られる松本市中町通りでの撮影中、

地元商店街の方から頂いたものなんです。

蔵をデザインしたシンプルな構図とサイズが絶妙で、

実際に着用してみると(下の写真)こんな感じに。

IMG_0707.jpg

【「ゆうがたGet!」スタジオで/撮影は齋藤沙弥香アナ】

 オジサンのアップショットで失礼。渡部さんの方がよかったかも。

私も渡部さんも実はこのマスクがいたく気に入り、

「これ着けて撮影したらダメ?」と提案してはみたものの、

「ダメです!お二人の顔が分かんなくなります」とディレクター氏。

              ✤

 マスク出演は叶わなかったが、時折着用しては会う人ごとに

「どう、これ?」と自慢して回っている(子供みたいだね、この人)。

鏡を覗くたびにチラリと映る蔵のマークが、

あの白壁の街並みをやわらかく思い出させてくれるのです。

2020/12/18 「おじさんぽ」

「"おじさんぽ"らしい雰囲気でイイですねぇ」

と、ディレクター氏がつぶやいたのは、

蔵の街を歩いている時だったか、橋の上だったか。

「ねえ、これってそういうタイトルの番組なの?」

「いえいえ、あくまで仮タイトルですから、仮!」

写真3.jpg

こんな会話を、もうひとりの"おじさん"は隣でニコニコと聞いておられる。

戦場カメラマン・フォトジャーナリストの渡部陽一さん(写真右)である。

私と同世代だが、渡部さんの方がややお若い。

今回は城下町・松本を"おじさん"2人がふらりと街歩きするという番組。

住む人に、訪れる人に優しい昔からの街づくりの工夫を

写真家の目線で切り取ってもらうと、さてどうなるのか?

商店街で、歴史ある建物で、お城の庭で、

あのほんわかと鋭い"渡部節"が炸裂します。

いやー、仕事を忘れて(ごめんなさい)楽しかったなあ。

放送はあす ●12月19日 午後2:30~3:00

詳しくはこちらから ↓

 https://www.tsb.jp/bangumi/special/2020/12/post-2410     

前の5件 28  29  30  31  32  33