「秀一さん、もうちゃんとした手袋して下さい」
去る水曜の「ゆうがたGet!」生放送中、鈴木智恵・気象予報士からアドバイスをもらった。
自転車通勤族の私は、その日まで指先部分の露出した毛糸の手袋(写真)だった。

ハンドルを握る掌さえ覆っていればまだ大丈夫、と高をくくっていたのだが、
この日辺りから指先が痛いと感じる日が多くなっていた。
日差しのある朝はいくらかマシなのだが、とっぷりと日が暮れた帰宅時間は
ひときわ厳しい気がする。
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「そろそろ晩秋から初冬に移り変わる時季。冬支度もして下さいね」
とは鈴木予報士の談。

一気に進んだ長野市・若里公園の紅葉を見るにつけ(写真はわが愛車)
僅かひと月前はシャツ1枚で風を切っていたとは思えぬ季節の移ろい。
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世の自転車族のお仲間がた、そろそろ冬支度を致しましょうか。
仕事場の本棚に、使い込まれた茶色の表紙の図鑑が加わった。
「長野県動物図鑑」。初版発行は昭和53年。私が中学生の時分だ。

「辞書を引くようにしてニコルがいつも使っていたものです。
形見分けだと思ってお持ちください」
34年間マネージャーをつとめた森田いづみさんから手渡された時、
一瞬、表紙の文字が滲んで見えなくなった。

4月に急逝した作家のC.W.ニコルさん(信濃町在住)の愛用品。
挟まれたままの付箋には、ニコルさん直筆の書き込みも残る。
いつも頂いていたクリスマスカードや手紙で見慣れた筆跡が、
なんだかとても懐かしく思えた。
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ニコルさんの森づくりと作家活動を支え続けてきたマネージャー、
森田いづみさんが彼の後任としてC.W.ニコル・アファンの森財団の
新しい理事長に就任した。
「ニコルならきっとこうしただろう、こう言っただろう」
残された言葉と思いは、森田さんの中にしっかりと息づいている。
新理事長が語る、日本の森のこれからは、今夜の「news every.」で。
我が家の南向きのベランダに小さな風車がある。
10年以上も前、当時小学生だった息子が作った
ペットボトル製のものだ。
台風が近付いた先週末、時折吹き抜ける強い風に
カラカラと音を立てて回っていた。
1年前、台風19号が襲来したあの週末も
ちぎれんばかりの勢いで回っていたのを思い出す。

この2週間、記者やキャスターたちがそれぞれの視点で取材報告した
「台風災害1年」の10回シリーズがきょう放送を終えた。
ともすれば大きな被災地に目が向きがちだが、
本シリーズでは見過ごされがちな被害や課題も取り上げてきた。
1年で変わったもの、変わらないもの。
節目はあくまでも、それらに気付くための通過点でしかない。
次の災害に向けて今から出来ること。
その答えは、やはり現場にしかないことを改めて感じている。

【長野市豊野の陸橋から/去年10月13日 筆者撮影】
「おばあちゃん、きのう(施設から)帰ってきたばかりなんです。」
「家の中が新しくなっててびっくりしてました」
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改修した自宅での暮らしが戻ったことに、男性は顔をほころばせた。
90代の母親は災害発生当時、施設に避難していて
我が家が床上浸水したことは知らせていないという。
あの台風災害から、間もなく1年が巡ってくる。

千曲川上流に位置する南佐久郡佐久穂町を訪ねた。
上流の山間に降った豪雨で川が氾濫。川沿いの集落は大打撃を受けた。
一見穏やかに見えるダムの底にも、大量の土砂が沈んでいる。

人口1万1000人の町で、復旧作業に携われる業者の数は限られる。
川底に堆積した土砂の撤去は県の管轄であり、町の独断では手が出せない。
さまざまな制約の中、小さな町は前に進もうともがいている。
だが、実際の復旧は思うようには進んでいない。
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ともすれば下流部の被害に目が向きがちな台風19号災害。
その上流の町の今を、今夜の「news every.」でお伝えしたい。
野分=「のわき」「のわけ」の2通りの読み方があるそうです。
秋から冬にかけての強い風の呼称で、台風を指すことも。

【白馬村北城の田圃脇から/29日午後】
2週間前の30度超えの暑さが嘘のように
朝夕の涼しさ、日中の空気が入れ替わった感があります。
きょうで9月も終わり。今年の4分の3が過ぎたことになります。
コロナ禍の不安と地に足が着かない感覚がないまぜの中、
日々の経過があまりにも早かった気がしています。
間もなくやってくる台風災害1年の節目。
現場を訪ね歩いた報告を、小欄でもお伝えしていきます。