松本市の信州大学で私が受け持ってきた講義の
今年度最後のひとコマが、きょう終わった。
学年末の試験期間中というだけではない。
長野県に初の蔓延防止重点措置が出されていることもあり、
昼休みの学内にいつもの賑やかさはない。
昼食時は行列ができる学生食堂も、
利用者は数えることが出来るほど。
イベント告知の立て看板には「中止」の紙が貼られ、
サークル案内の掲示板も、チラシの枚数は少なめだ。
試験期間が終われば、大学はどこも長い春休みに入る。
「ようやく対面授業ができたと思ったんですが、
良い時期がこれほど短いとは・・・・・・」
長年教壇に立つベテランの先生がぽつりとこぼされた。
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希望の春という言葉を口にできるのはいつになるのか。
学生たちが書いてくれたレポートを鞄に仕舞いながら、
心の片隅で小さくつぶやいてみる。
「負けるな、あきらめるなよ、大学生!」
朝、出勤前に体温を測る。きのうより0.3度低め。
掃除機をかけ、パソコンで古い音源のピアノ・ソナタと
あいみょんの歌をしばし聴く。
あいみょん......いいですねぇ♪
日々増えゆくニュースの数字をノートにとりながら、
今やること、できることを、できる範囲で続ける。
きのうも、きょうも、出来ればあすも。
産地直売の野菜や果物を買うのが好きで、
家人とよくあちこちを巡ります。
農産品の良さが、ある種の直球で伝わってくる、
そんな場所がこの産直だと感じます。
でも、これが食肉となるとそうはいきません。
衛生・安全基準に基づいて都道府県が許可した施設以外では
家畜を肉にする加工・処理が認められていないからです。
その必須施設である食肉処理場が閉鎖された地域では、
地元畜産農家が牛の出荷先に苦慮しています。
「後継者もいないし、牛の行き先まで無くなった」
そんな農家のつぶやきから、この企画取材は始まりました。
取材先は長野県内に留まらず、真夏の古都・京都へ。
そこでは地元京都産の牛肉に匹敵する高い評価が
「信州牛」に与えられていました。
そこから見えてきたのは信州の牛肉・食肉をめぐる
内外の「評価差」と「公と民」の関り方でした。
【写真=京都府亀岡市の牛舎を取材中のスタッフ】
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今年最後の「news every.」(きょう午後6:15~)は
肉牛をめぐる議論の一端を大型特集でお伝えする予定。
知られざる食肉の現場と、信州自慢のブランド牛肉を支える
課題が見えてくるはずです。
この「牛をめぐる議論」、皆さんも是非考えてみて下さい。
61歳で初めての著書が刊行され、
69歳で他界された須賀敦子さん。
書き手としてのあまりに短い生涯に驚かされます。
一方で、随筆家、翻訳者、イタリア文学者、
ボランティア、カトリック信徒と、
多彩な顔を持つ人でもあったそうです。
きのうの『西蔵放浪』(藤原新也・著)に続いて
私が繰り返し手に取る本をご紹介。それが、
『須賀敦子全集』全8巻+別巻(文庫・河出書房新社)です。
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再読、再々読したページに付箋をはさんでいたら、
いつの間にかこんなになりまして(写真下)。
私こと、今月56歳の誕生日を迎えたとはいえ、
須賀さんが初めて本を出した年齢にすら達していません。
何かを始めるのに遅すぎるなんてことはない。
須賀さんの生き方から、そんなことを学んでいます。
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週明け27日から、「マイチャン。アプリ」で
「ゆうがたGet!」出演者がおすすめする
‟年末年始の〇〇〇"がスタート。
そのトップを切るのが私の「本の話」なのです。
小欄掲載の本のほかに、漫画も登場予定♪
よかったら、ちょっと覗いてみて下さい。
奥付を見ると初版は25年以上も前なのですが、
今でも時折手に取る1冊がこれです。
ここに書かれた旅自体は、そこからさらに20年以上も遡ります。
著者はおそらく20代後半から30代。当時、私は小学生だったはず。
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この2年近く、遠出もままならない日々の中で読み返すと、
ヒトが身体ひとつで荒れ野を往くということが
何だか無性に羨ましく思えてくるのです。
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●『西蔵放浪』 藤原新也・著(朝日文庫)
(※西蔵=チベットと読みます)
きょう・あすの2日間は、久し振りに本の話をちょこっと。
よろしければお付き合いください。