2021/03/25 桃紅さんのこと

最近、何度も何度も読み返している1冊がある。

『103歳になってわかったこと』(幻冬舎新書/2015年)。

美術家の篠田桃紅(しのだ・とうこう)さんの著書だ。

ご存命であれば、今週末28日が108歳の誕生日だった。

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3年前、上田市で開かれた作品展に合わせ

桃紅さんの道程を辿ったドキュメンタリー制作に

関わらせてもらった。著書もその時に購入したものだ。

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海外旅行に行く日本人が年間数万人の時代に、

独り和服姿でアメリカ行きの旅客機に乗り込んだ桃紅さん。

その自由闊達な画風(書風)で世界のファンに愛された。

「誰の真似でもない。私だけの書き方」

「弟子なんかとろうと思ったことは一度もない」

「人はひとりっきりで生まれてくるんです。

 そしてひとりっきりで死ぬんですよ」

 (テレビ信州のインタビューより)

その力強く歯切れよいひと言ひと言が

見る者、聴く者の背中を押してくれる。

孤独がすなわち寂しいものではない、

孤独とは時に豊かなものである。

桃紅さんの姿勢から、私はそんなことを教わった。

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生涯独身、ひたすら水墨と紙に向き合った

篠田桃紅さん、享年107。

訃報から3週間。あの番組は私にとって宝物である。