2021/03/15 豪雪の村から

長野市から高速と一般道を乗り継いで

北へ向かうことおよそ1時間半。

新潟県境が近付くにつれ、風景が白くなっていく。

下水内郡栄村は大人の背丈を超す雪の中にあった。

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「たしかに暖かくはなったが、まあ雪はこんなもんだな」

集落で出会った老人が笑いながら教えてくれる。

長野県北部地震から10年の節目。栄村を訪ねた。

この10年で村の人口は4分の3に減り、

65歳以上の高齢者の割合は人口の5割を超えた。

住民数が1ケタになった集落もあるという。

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「地震がなければ、こんなには減らなかっただろうに」

住民が漏らした言葉が重かった。

建て直され、改修された住宅地のすきまで

雪に埋もれた空き地や更地の多くが、

かつて家があった場所であることを忘れがちになる。

それは「復旧」であって、まだ「復興」ではない。

この意味の違いも、忘れてはならないと改めて思う。