2004年度の取り組み
2004年度メディア・リテラシー
高校生CM制作体験プログラム
>>8 CM作り隊が制作したCM作品比較
「僕たちCM作り隊」報告書
2005年6月
株式会社 テレビ信州
メディア・リテラシー推進委員会
1 プログラムの企画意図と経緯
2001年4月~2003年3月の、日本民間放送連盟メディア・リテラシー・パイロット研究で考案された「テレビ信州スタッフの出前授業と子ども達による3分間のミニ番組作り」というプログラムの成果と教訓を踏まえ、新たな分野に裾野を広めるべく、今回「CM」を題材として選定した。
15秒間という極めて限られた時間の中で、視聴者にいかに強いメッセージを送ることが出来るかー。
テレビから発信される情報の特性を体験的に理解するとともに、民放テレビ局の経営基盤となる営業の仕組みについても学んでもらう狙いで、これまで関与しにくかった営業スタッフが参加できるステージになったことも特筆すべき試みとなった。
さあらに、作品の出来がよければスポンサーとなる企業のCM素材として、実際に放送することも視野に入れた挑戦的なプログラムとなった。
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2 参加者(敬称略)
長野県塩尻市広丘高出2081
学校法人 五島育英会 武蔵工業大学第二高等学校(校長:持田明夫)
* 本校は2002年度の民放連パイロット研究後も「ミニ番組作り」を情報マルチメディア科の正課に取り入れ、3年間にわたってテレビ信州と連携して授業を行っている。
情報通信科3年 原 弘道 (担当 ディレクター)
普通科3年 柳沢和子 (担当 CM出演)
情報マルチメディア科3年 御厨正己 (担当 撮影・編集)
情報マルチメディア科3年 和田直弥 (担当 音声)
メカテック科1年 塩谷吉寛 (担当 字幕スーパー)
メカテック科1年 鳥羽南成 (担当 BGM)
顧問教師 河野通俊 (情報マルチメディア科)
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3 テレビ信州スタッフと役割
実施総括・番組プロデューサー 編成局長兼編成部長 平坂雄二
┗プログラム実施の全体責任者
企画コーディネート・番組取材 編成局編成部次長 湯田邦彦
┗プログラムの企画・運営・渉外・番組取材・生徒アドバイザー
番組ディレクター 編成局制作部 稲村享志
┗番組取材
CM考査 業務局営業推進部次長 丸山善啓
┗生徒制作のCMを考査
営業コーディネート 中南信支社営業部 白木博明
┗スポンサーとの交渉・連絡・生徒アドバイザー
制作技術指導 長野映像センター 坂橋宏明
┗生徒への撮影指導
撮影・編集 長野映像センター 片山孝之
┗番組撮影・編集
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4 CM制作協力企業(敬称略)
塩尻市広丘高出1537
株式会社 カーパーク(代表取締役社長:中谷知三郎)
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5 協力企業選定の経緯
株式会社カーパークは、大規模な展示場を有する中古車センターで、展示場は「TSBカーパークin塩尻」という名を冠し、テレビスポットのCM出稿はテレビ信州1社のみとなっている。
このため協力を得やすかったというのが、複数の候補会社・事業所の中から選定した最も大きな理由だが、学校から徒歩5分という立地条件、CMの対象が自家用車と高校生でもなじみやすい商品といった要素も加味された。
番組制作およびCM素材制作の経費は、すべてテレビ信州が負担するが、今企画で制作されたCMを放送する場合、スポット料金が発生することを事前に説明し了解を得た。
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6 活動内容と日程
<2004年>
11月1日 生徒とテレビ信州スタッフの顔合わせ
5日 生徒によるCM企画会議
8日 テレビ信州スタッフ打ち合わせ会議
18日 カーパークへのCM提案(CM絵コンテ)
29日 CM絵コンテの手直し作業
12月10日 坂橋カメラマンによる撮影指導
14日 生徒の日本テレビ見学
(施設見学と岩崎宣伝部長によるCM基礎知識講座)
<2005年>  
1月15日 カーパークで1回目CM撮影・編集・反省会
26日 カーパークで2回目CM撮影に備えロケハン
2月5日 カーパークで2回目CM撮影・編集・反省会
2月16日 テレビ信州CM放送施設見学とCM考査
編集手直し→カーパークで試写
28日 CM放送開始
生徒とスタッフによる反省会
3月21日 活動をまとめた55分番組
「僕たちCM作り隊~クリエーターは高校生」
(長野県内ローカル)を放送
4月21日 テレビ信州番組審議会で合評
28日 スタッフ反省会
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7 おもな活動記録
11月5日(金)午後3時30分
放課後、参加する高校生5人が集合。
担当の先生とテレビ信州スタッフを交えてどのようなCMをクライアントに提案するか、コンセプトを話し合う。
ちょうど運転免許を取得中のメンバーから「免許を取ったあと車選びに迷い、そうだカーパークに行こう~これに決めた」のようなCMがいいと、具体的なアイデアが飛び出す。
各自企画書と絵コンテ(資料①参照)を作成し、次は実際に会社にプレゼンテーションすることに決定。
またメンバーの役割も決める。(担当はディレクター、カメラマン、編集、BGM、スーパー、ナレーター)
後日1名が加わり6名のチームになる。
企画会議 絵コンテらしきもの(資料(1)) ディレクター・原君(3年)
カメラマン・御厨君(3年) CM出演・柳沢さん(3年) 音声・和田君(3年)
字幕スーパー・塩谷君(1年) BGM・鳥羽君(1年) 顧問の河野先生
11月18日(木)
クライアントの「カーパーク」へ。
社長、専務が応対。
会議室ではこの日のために高校生が手作りした名詞を差し出し交換。
企画書は「家族向け」2本「若者向け」2本の計4本(資料(2)参照)。
社長からは「どれも素晴らしい。できれば全部CMを作って欲しい」と激励される。
ただ全部は無理なので「家族+若者」両方の要素を入れた企画とすることで合意。
練り直した企画書を再提出することに。
生徒がパソコンで作った名詞 中谷社長と
名詞交換するメンバー
CM企画書の
プレゼンテーション
カーパーク・中谷社長 社長を前に企画書の説明
 カーパーク・大谷専務 熱心に企画書を見る中谷社長 助言するテレビ信州スタッフ
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11月29日(月)
きょうの午後はテスト明け。
さっそく前回手直しを求められた「絵コンテ」の作成に取りかかる。
柳沢さんの案の8コマを実際にセリフでつなげたところ、なんと36秒もかかることが判明。
どこを落とすかをみんなで考え、会社へのプレゼンテーションの時間が迫る中、CMに出演するキャストを免許取りたての姉を中心とした家族に決定(資料(3)参照)。
12月10日(金)
年明けからのCM撮影を前に、テレビ信州報道部の坂橋カメラマンによる技術指導が行われる。
「自分達の学校を知らない人に映像で知らせよう」というテーマを設定。
校内で3つのシーンを撮影することに。
はじめに教室で坂橋カメラマンより講義があり「ただ漫然と撮影するのではなく、何を訴えたいか視点を明確にして撮影する大切さ」を教わる。
生徒同士が相談して決めたシーンは(1)高校では県下唯一の自動車科の整備工場(2)強豪のサッカー部の練習風景(3)学校の先生のインタビューということになり、カメラ片手に校内へ。
終了後、再び教室で坂橋カメラマンに映像をみてもらい、講評と注意点などについてアドバイスを受ける。
坂橋カメラマンによる講義
▲UP
12月14日(火)
CM基礎知識を勉強するため日本テレビを訪問。
PR局岩崎宣伝部長にレクチュアーを受ける。
メンバーの作成した絵コンテを見てもらったところ「オーソドックスだがインパクがあまりない」と厳しい指摘。
「あれもこれも入れずに、単純なメッセージの方が視聴者に伝わる」とのアドバイスを受ける。
講座の最後に岩崎部長は「一度決めた企画ならそれで突っ走ることも大切だよ」とメンバーを激励。
CM基礎講座(日本テレビ) 日本テレビ岩崎宣伝部長
1月15日(土)
CM撮影。
父親と母親役は塩谷君の実の両親が、柳沢さんの妹弟役は鳥羽君の実の妹弟が務める。
あいにくの悪天候。
さらにロケハンなしのぶっつけ本番となる。
(メンバーには年末に自主的に冬休み中にロケハン=ロケーションハンティング=するように言い渡し、カメラも貸し出しいていた)
このため撮影ポジションがなかなか決まらず、出演者を寒い中長時間待たせてしまう結果に。
編集した結果は尺が21秒ある上、映像の構成がすべてグループショットのロングばかりというもので、当然ながら後日撮影をやり直すことに。
▲UP
1月26日(水)
カーパークでロケハン。
前回の撮影でカメラのポジションが決まらず、出演者を2時間も待たせてしまった反省から、2月5日の本番に向けて現場でロケハンを行う。
2月5日(土)
本番撮影再挑戦。
朝から青空が広がる天気には恵まれたが、午前10時ごろから収録に苦労した。
今回はストップウオッチを用意し、シーンごとに長さを計り撮影を進めた。
編集の結果前回21秒もあったCMの長さが15秒に収まる。
マイクを準備 ブームは物干し竿
▲UP
2月16日(水)
CM考査
TSBにてCM考査。
これはCMの内容に不適切な内容がないか放送局が事前にチェックするもの。
今回、CM作り隊が制作した作品は内容的には問題なかったが、CMの中で表示している「県下最大級」という字幕スーパーが、「それを証明する根拠がないと放送できない」という指摘があり、「改稿」することになった。
こういっ たチェックがあるということをメンバーは初めて知ることに。
テレビ信州でのCM考査で
モニターを見つめる
CMバンクの見学
スポンサーで試写
最終試写をカーパークで行い、社長からは「高校生が作ったCMということに意義があります。たった1秒、2秒のことでも半日も1日もかかることがあるし、CMを作るのは大変なことだってことがわかったでしょう。」
とねぎらいと励ましの言葉を受け、メンバーは大喜び。
2月28日(月)
4カ月にわたって展開されたCM制作も終わり、今日から実際にCMとして放送が開始。
プロのCMに混じって高校生のCMが放送されるという歴史的な日となった。
全員が学校に集合し、その瞬間を待つ。
大型スクリーンで鑑賞 CM放送直後の表情
メンバーからは歓声が CM作り隊の解散
▲UP
>>8 CM作り隊が制作したCM作品比較