その文庫本を購入したのは年度替わりも近い今年3月。
全国から本好きが集まることで知られる京都・一乗寺のK書店だった。
パラパラとめくるうち、半年以上も「積ん読」状態だった頁に挟まれた
布製の栞(しおり)が目に留まった。
「ご自由にお持ちください」のポップとともに
書店のレジに置かれていたものだ。
1枚もらいうけたのは、素朴な版画のデザインに惹かれたからで、
英語の文字の意味を考えたのは後のことだった。
✤
イスラエルとパレスチナ自治区の戦闘が始まってから
1年が経った今、ずっと読まずに置いていたこの本を
たまたま開いたのは偶然だったのか。
印刷された英字を見て正直ドキリとした。
他人事と思っていないか? そう問われた気がした。
つい先ほどまで、来年放送の「戦後80年」シリーズの
企画ノートをとっていたばかりだった。
「戦後ではない、今は戦中だぞ」
小さな栞に言われた気がしている。
実際に手にするまで、新札が世に出回っていることが
すっかり私の頭から抜けておりました。
「ああ、そういえばそうだった」くらいの感じで。
新札の流通ってどのくらい進んだのでしょう?
先日、講演の仕事の後に頂いた講演料が、嬉しい新札でした。
しかもよく見れば、通し番号がつながっていて
「きっと銀行からおろしたばかりのホヤホヤなのだろう」
と、想像ばかりふくらみます。とはいえ......、
この日以降なかなか新しい顔のお札に出会っていません。
北里柴三郎、津田梅子の両先生にお会いできるのは
いつになるのでしょう?
政治もしくは政治報道の一寸先は闇......。
先週末の解説で衆議院解散総選挙の日程予測を
見事?に外してしまった私に弁解の機会が与えられた。
「臨時国会から衆院選までの日程解説やりません?」
けさ、出勤直後の私を呼びとめてくれたのが
報道フロアの鬼デスク、酒井龍人記者である。
ニュースは「新鮮で・分厚く・面白く」にこだわる
鬼の顔が仏に見えた朝であった。
午後6時17分すぎ、私の生解説が始まった。
が、意外な鬼はここにいた!
キャスターの木下歌織が発した質問一発目。
「伊東さん、先週末の解説で10月投票はないって
言い切ってましたが、なんで外れたんですかぁ?」
(-_-;) 直球、である。鬼は忖度などしない。
言い訳は極力短めにまとめたうえで、
27日投開票という「ほぼ確」日程の流れを
懇切丁寧に説明させてもらった。
これでまた外したら、鬼にも仏にも顔向けが出来ない。
「石破さんは臨時国会で十分議論してから解散、
国民に問うという考えを主張してきた人物」
「予算委員会も開いて新内閣の考え方をしっかり
説明すべきという持論です」
「よって10月中の投票の可能性は消えました」
と私が解説したのはつい3日前の夕刻のこと。
がしかし、きのう日曜夕方あたりから情勢は急転。
夜のテレビ各局は「10月27日投開票の方向」、
けさの朝刊各紙も「27日投開票 石破新総裁が方針」
と一面トップの大見出しで打ってきた。
✤
ここ2週間ほど報道番組と紙面に出来るだけ目を通し、
知り合いの政治関係者や選挙関係者に直接あたってもみた。
結果、石破さんって「丁寧かつ慎重」という印象を持ち
あの解説原稿を書き上げたのだが。
と、今更悔やんでも生放送は消しゴムが効かぬ世界。
申し訳ありません、見通しを外してしまいました。
✤
「ほら見ろ、言わんこっちゃない。政治の世界は
一寸先は闇なんだからな。(政治報道は)怖いぞ」
学生時代、政治学の基本を叩きこんでもらった
優しくも厳しい恩師の言葉が思い浮かびます。
「闇」の一端を垣間見た週末でありました。
わが報道制作フロアの片隅に鎮座する愛しきゴジラ様。
私たちの仕事を静かに眺めながら、実は深夜になると
社内を歩き回ってるのでは、と密かに空想するこの頃。
✤
『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督(松本市出身)と私が
特撮の過去と未来をテーマに語ったトークショー動画が
テレビ信州公式YouTubeで配信中です。
監督が偏愛?する怪獣キングギドラのことを
「三つ首の龍」と発言した私が監督の逆鱗に触れる場面など
実に45分間(編集後は40分)の語り尽くしです。
背景の上田市街地のジオラマも必見!