その文庫本を購入したのは年度替わりも近い今年3月。
全国から本好きが集まることで知られる京都・一乗寺のK書店だった。
パラパラとめくるうち、半年以上も「積ん読」状態だった頁に挟まれた
布製の栞(しおり)が目に留まった。
「ご自由にお持ちください」のポップとともに
書店のレジに置かれていたものだ。
1枚もらいうけたのは、素朴な版画のデザインに惹かれたからで、
英語の文字の意味を考えたのは後のことだった。
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イスラエルとパレスチナ自治区の戦闘が始まってから
1年が経った今、ずっと読まずに置いていたこの本を
たまたま開いたのは偶然だったのか。
印刷された英字を見て正直ドキリとした。
他人事と思っていないか? そう問われた気がした。
つい先ほどまで、来年放送の「戦後80年」シリーズの
企画ノートをとっていたばかりだった。
「戦後ではない、今は戦中だぞ」
小さな栞に言われた気がしている。