2024/10/09 文庫本に挟んだ「戦争」

その文庫本を購入したのは年度替わりも近い今年3月。

全国から本好きが集まることで知られる京都・一乗寺のK書店だった。

パラパラとめくるうち、半年以上も「積ん読」状態だった頁に挟まれた

布製の栞(しおり)が目に留まった。

「ご自由にお持ちください」のポップとともに

書店のレジに置かれていたものだ。

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1枚もらいうけたのは、素朴な版画のデザインに惹かれたからで、

英語の文字の意味を考えたのは後のことだった。

           ✤

イスラエルとパレスチナ自治区の戦闘が始まってから

1年が経った今、ずっと読まずに置いていたこの本を

たまたま開いたのは偶然だったのか。

印刷された英字を見て正直ドキリとした。

他人事と思っていないか? そう問われた気がした。

つい先ほどまで、来年放送の「戦後80年」シリーズの

企画ノートをとっていたばかりだった。

「戦後ではない、今は戦中だぞ」

小さな栞に言われた気がしている。