鑑賞料は、入り口ではなく出口で支払う。
それがこの美術館のルールに以前からなっている。
久しぶりの館内を二巡ほどしてから、出口へ。
受け取ったチケットと案内に加え、もう1枚、小さな紙片が。
戦禍のウクライナへのメッセージが記されていた。
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上田市塩田平を見下ろす小高い山の上にたつ
「戦没画学生慰霊美術館・無言館」はことし開館25年。
戦争の歴史、戦後の歴史、人間の歴史が
1枚1枚の絵に刻み込まれているといってもいい。
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「戦争が無ければ、無言館などという美術館は
無くたっていいはずなんです」
雑談がウクライナの戦況の話に及んだ時、
窪島誠一郎館主は穏やかな語気を、一瞬だけ強めた。
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戦争に関わり続ける美術館にしか、出来ないこと。
80歳を迎えた館主は、日々そのことを考え続けている。