仕事場の本棚に、使い込まれた茶色の表紙の図鑑が加わった。
「長野県動物図鑑」。初版発行は昭和53年。私が中学生の時分だ。
「辞書を引くようにしてニコルがいつも使っていたものです。
形見分けだと思ってお持ちください」
34年間マネージャーをつとめた森田いづみさんから手渡された時、
一瞬、表紙の文字が滲んで見えなくなった。
4月に急逝した作家のC.W.ニコルさん(信濃町在住)の愛用品。
挟まれたままの付箋には、ニコルさん直筆の書き込みも残る。
いつも頂いていたクリスマスカードや手紙で見慣れた筆跡が、
なんだかとても懐かしく思えた。
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ニコルさんの森づくりと作家活動を支え続けてきたマネージャー、
森田いづみさんが彼の後任としてC.W.ニコル・アファンの森財団の
新しい理事長に就任した。
「ニコルならきっとこうしただろう、こう言っただろう」
残された言葉と思いは、森田さんの中にしっかりと息づいている。
新理事長が語る、日本の森のこれからは、今夜の「news every.」で。