「坂の上から下の田圃道まで、もう県外ナンバーが大渋滞でね」。
思いがけぬ大混雑と反響に戸惑いつつも、主人公は
前々日のドラマの印象を、ぽつぽつと語ってくれた。
8月27日(土)に放送された「24時間テレビ」スペシャルドラマは、
上田市の戦没画学生慰霊美術館「無言館」とその館主が主人公。
浅野忠信さん演じた館主の窪島誠一郎さんを、放送後に訪ねた。
✤
「(来館者は)何だか絵を見るんじゃなくて、僕の顔を
見に来てるみたいな。主人公になるって複雑だよねえ」
ドキュメンタリーでなく、実話に基づくドラマの場合、
登場人物や設定は実名だが、役者さんが演じる以上は脚色も入る。
窪島さん自身、ドラマの主人公になったのは2度目だという。
「無言館を知ってもらうためには必要な事。感謝します」
桜の季節、控え目な言葉でドラマ化を了解して下さった窪島さん。
放送を終えた後も、控え目に感想を語るその口調に、
館主としての意志と矜持を見る思いがした。
25歳になった無言館。館主はこの秋、81歳の誕生日を迎える。