2005年度の取り組み
武蔵工業大学第二高校4年目の実践
武蔵工業大学第二高校(塩尻市)では情報マルチメディア科のカリキュラムとして
「メディアリテラシー」を導入しています。
同科にはカメラマンやディレクター、それに編集や音響などのプロを目指して進学する卒業生もいることから、単にテクニックを習得するだけでなく、メディアから発信される情報を読み解く能力を、早い段階で体験的に身に付ける必要があるとの方針から、毎年3年生の授業で継続的に実施しているものです。

☆1年目と2年目のテーマは「3分間のミニ番組作り」、3年目のテーマは「CM作り」、
そして4年目のテーマには塩尻市を紹介する「記者リポート」が選ばれました。
ステップ【1】 7月6日(水) 「編集ワークショップ」の作品発表会
去年の沖縄への修学旅行の際、先生が撮影したVTR素材を使って班ごとに3分間のミニ番組作りに挑戦。
その作品をテレビ信州スタッフと先生が審査員になって採点、講評しました。
修学旅行に行った自分たちにしかわからない楽しみを、いかに知らない人たちに伝えるか、映像・音声・ナレーション・BGM・スーパーを巧みに組み合わせて制作していました。
中にはプロ顔負けの編集テクニックを使った班もあり、感心させられました。
ステップ【2】 8月31日(水)
 
各班の取材テーマの案がまとまり、9月からスタートする取材に向けて、テレビ信州スタッフによる恒例の「出前授業」が行われました。
担当するのは大和記者、浅葉アナウンサー、荒井カメラマン。
それぞれの専門の立場から、(1)リポートの心構え(2)インタビューやリポートの実技(3)映像の特性とカメラワークなど、自らの体験を交え、わかりやすいリポートを作るコツについて展開しました。
【実 技】 きょうの授業について1分間のリポートをしなさい
という課題を設定、実際にカメラを使ってリポーター役の生徒が「ここは武蔵工業大学第二高校の教室です。現在テレビ信州のスタッフによるメディアリテラシーの授業が行われています。~(中略)~以上○○がお伝えしました。」といった具合です。
完成後作品の試写会も行われ、本格的な制作に向けて感覚をつかみました。
自らのリポート体験を語る浅葉アナウンサー
荒井カメラマンによる
映像の特性についての授業
先生をモデルに映像の特性の実技
「きょうの授業について
1分間のリポートをしなさい」
という課題を与えられ原稿を考える生徒

記者、カメラマン、リポーターに
分かれ制作開始
カメラに向かって「前ふり」と呼ばれる
顔出しリポートする生徒
1分間の短いリポートでも
インタビューは大切な要素
授業を担当した浅葉アナウンサーに
感想を聞く生徒
ステップ【3】
  生徒自身の力で記者リポートしました。
<手順>
1. 取材計画の立案
2. 取材先へのアポ取り
3. 取材
4. 映像編集
5. 仕上げ(ナレーション、BGM、スーパー)
その結果5つの班の作品が出揃い、11月30日にクラス内でコンテストが行われました。
 
クラスで行われた作品の発表会
 
映写の前に作品のコンセプトや、最も訴えたいことなどをプレゼンテーション
 
<各班のテーマ>
A班 五一ワイン (地元塩尻市のワイナリー紹介)
B班 レザンホール (塩尻市の文化施設の紹介)
C班 みどり湖 (郊外にある湖と釣り客などの楽しみ方紹介)
D班 平出遺跡 (遺跡と博物館、体験学習など紹介)
E班 信濃ワイン (地元塩尻市のワイナリー紹介)
 
<審査結果と放送予定>
審査会の結果、平出遺跡を取材したD班の作品をテレビ信州で放送することにしました。
この作品の他、授業や取材の様子などを交え、12月21日(水)18:17~19:00「ゆうがたGet第4部」のニュースの中で武蔵工業大学第二高校から生中継でお伝えする予定です。
ステップ【4】 ニュースに生出演し成果披露
  武蔵工業大学第二高校でこれまで取り組んできたメディアリテラシー授業の様子を紹介する生中継が行われました。(12月21日、ゆうがたGet!第4部)
テレビ信州から中継車が学校に出動。
これまで授業を行ってきた教室をミニスタジオに、浅葉キャスターと北野利樹君が進行役を務めました。
 
浅葉キャスターと北野君
<生徒がこれまで取材を続けてきた塩尻市の紹介VTR>
A班 ワイン工場 (五一ワイン)
B班 レザンホール
C班 みどり湖
D班 平出遺跡
E班 ワイン工場 (信濃ワイン)
  この5つの班の作品から審査会で最優秀賞に選ばれた『平出遺跡』が放送され、生徒達は苦労した点や勉強になった点などを報告しました。
 
教室から生中継
クラス全員が出演者
この取り組みを終えて (授業を担当したテレビ信州の大和記者)
  普段テレビをよく見るという生徒達ですが、審査会では「普段何気なく見ているテレビですが、情報をわかりやすく伝えることの難しさを知った」というような意見が出ていました。
取材・編集と作品を仕上げる過程で、情報の受け手と送り手の両方の立場に立って考えることが出来たというのが、この授業の最大の目的であり収穫だったと思います。
この授業の経験から、生徒達のテレビの見方が今後変わっていくと思います。
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