伊東 秀一

04/30 往く春

行楽にも行かず、遠くの家族とも会わず、
動かぬことが大切な人を守ることになる。
大型連休の後半を前に思いを新たにする。

昼間、局舎隣りの若里公園では
あらかた散り終えたソメイヨシノの近くで
真っ白なハナミズキが青空を背に咲いていた。

この春、花を愛でる余裕もなかった中で、
カメラに残った写真を見返しながら
往く春を暫し惜しみつつ。


【長野市・若里公園のハナミズキ/きょう】


【台風で冠水した長野市赤沼の桜/4月上旬】

04/21 いま出来る防衛術②

今週も感染症の専門医・小川英佑医師(篠ノ井総合病院)にお聞きした
新型コロナウィルス感染予防法をまとめます。
今回は【家庭内での感染を防ぐ】がテーマです。

✤ポイントは「家族間でも普段から距離をおくこと」
 以下、ぜひご参考に。

1.人込みに出かける人は、帰宅後も家でマスク着用を
2.会話するときは小声で(大声だと唾液・飛沫が飛びやすい)
3.机に座る時は真向いを避け「対角線」に座り、できるだけ距離をとる
4.タオル、食器類は共用しない
5.食事中は会話を控える(唾液・飛沫を避けるため)

✤もし家族に発熱や風邪のような症状があったら
 「コロナかも・・・まず感染症を疑ってかかる」こと。

1.部屋は別々に分け、接触は最小限に
2.体調の悪い家族と接するのは1人に限定する
3.外部からの訪問者は家に入れない
4.風呂とトイレはほかの家族と別にするのが理想
  ⇒難しい場合には●体調の悪い家族は一番最後に入浴を
          ●トイレはその都度、除菌をこまめにする

いま出来ることを確実に。小川先生、今週も有難うございました。


 4月初め、取材で訪ねた佐久穂町大日向の諏訪神社は春の例大祭前日でした。
 全国各地の夏祭りや行事の中止決定が相次ぐ中、祭りの場に皆が集える日は
 いつになるのでしょう。
 

04/16 いま出来る防衛術


【ひとけのない公園で満開の夜桜/長野市・城山公園】

7都府県に出されていた緊急事態宣言が全国に拡大されそうな中、
きょうの「news every.」では感染症と膠原病が専門の小川英佑医師
(JA長野厚生連・篠ノ井総合病院膠原病科)にインタビュー。
日々の暮らしの中で出来る「感染防衛術」を伺いました。

その一問一答を以下に要約。参考になれば幸いです。

Q.周囲に人がいなくてもマスクは必要ですか?
A.●人混みの中でなければ、あるいは対面する人がいなければ不要。
  ●ただしマスクは着脱するときの方がリスクが大きい。
   着け外しする時に、マスクの外側に付着したウィルスが
   手に着いたり粘膜に着く恐れがある。頻繁に着脱する人は要注意。

Q.自転車や車のハンドルは大丈夫?
A.1日1回程度は拭くのがよい。

Q.金融機関のATMなどを操作した後は?
A.機械は複数の人が触れるのに加え、現金そのものも要注意。
  大勢の人が触れているものなので、後で必ず手洗いを。

Q.やむなく出勤した場合、職場での注意点は?
A.●対人距離は2m以上、加えて会話時のマスクは必須。
  ●共用のデスク、引き出し、パソコン、ドアノブなどは
   出来るだけこまめに拭く。それが出来ない環境であれば、
仕事中にもこまめな手洗い習慣を。

Q.帰宅時、持ち歩いた鞄や着衣の扱いは?
A.●家族が集う室内には持ち込まない。
  ●玄関を入った早い時点で脱ぎ、付着した埃を払うか、拭く。
  ●できれば夕食前に入浴を。一番外部に露出してるのは顔。
   そこをきれいに洗浄してからの食事が理想。

Q.スマートフォンに触れる時の注意点は?
A.食事前や食事中にいじる人が多く、危険性が高い。
  頻繁に触れるスマホや携帯にはウィルスが付着している恐れがある。
  帰宅後にウェットティッシュなどで表面を拭きとってから操作を。

 出来ることからひとつずつ。小川先生、有難うございました。     
   
  

04/15 川と道と暮らし

 写真左手に瓦屋根の街並み、右手には抜井川(ぬくいがわ)が流れる。
その真ん中を画面奥に延びているのが集落の生活道路。
車同士がすれ違うのがやっとだが、実はかつては国道だった。
               ✤
 台風水害から半年がたった南佐久郡佐久穂町大日向を訪ねた。
3か月ぶりの訪問。ひっそりしていた1月と、風景は変わっていた。
濁流で流れてきた大量の土砂と岩に覆われた川の中では
何台もの重機が音を立てていた。
 崩れ落ちた護岸を固め、厚く積もった川底の土砂をさらい、
両岸に広がる田圃や畑に水を引く。
               ✤
「もう4月も半ば。水を張らないと田植えが間に合いません」
川沿いの住民や町の担当者も、気持ちは急いている。
大日向の生活は、常に川とともにあったという。
春の植え付けも、夏の川釣りも、秋の収穫も、抜井川あってこそ。
だが、あちこちで破損した農業用水の復旧は始まったばかりだ。
               ✤
 暖冬で雪がなかったぶん、水量が少ないのが気掛かりだという。
動き出した佐久穂町の春は、明後日17日の「news every.」で。

04/14 赤鬼が逝った春

「みんな見て見ぬふりしてるから世の中が悪い方に行っちゃうの」
「嫌われたってなんだって誰かが文句を言わなきゃ。
 だからボクはね、鬼になるって決めたんですよ。
 黒姫の赤鬼ね、ハハハ・・・・・・」

あの分厚く柔らかい笑い声が今も耳に残っている。
C.W.ニコルさん、享年79。
20年ほど前、彼が育てる森のドキュメンタリーを制作したのを
きっかけに、何度も森に足を運ぶようになった。
              ✤
新しい著書が出るたびに、いつも私の手元に1冊を贈って下さった。
エッセイであったり、小説であったり、時には絵本であったり。
大人向けの本も子供向けの本も、そのメッセージは常に一貫していた。


【ニコルさんから頂いた著書の一部】

1995年にニコルさんは日本国籍を取得し、日本人になった。
日本が大好きだから、日本人になれたことは自分の誇りだ。
来日後、よそ者の自分に日本人は本当によくしてくれた。
だから、育てた森は私からこの国への感謝・お返しなのだ、と言った。
              ✤
いつだったか、信濃町の森でインタビューした折、
“目指す理想の森は”、という話になった。
しばらく樹間を見上げていた視線をおろすと、静かに口を開いた。

「ボクが見たいと思っている森は、ボクや伊東さんは見られません。
 伊東さんの孫の世代が、たぶん見られるでしょう」

人の一生せいぜい80~90年。森の育つ時間は数百年。
時の悠久さと人間の小ささを、いつも教えてくれる人だった。
              ✤ 
                
黒姫に暮らして40年。ニコルさんが育てた「アファンの森」の春は遅い。
今年芽吹く新緑を、彼は少しでも見られただろうか。
「ニコルさんが見たいと言ってた森、あと何年後になりますかね?」
答えてはくれない赤鬼に、もう一度だけ訊いてみたい。