テレビ信州とメディアリテラシー
メディアリテラシーのきっかけ
今日、「メディア・リテラシー」の「活動」は中学生・高校生との交流の形を取って行われています。
しかし、それは当初からのものではありません。
自らの「事件報道」を検証する過程で、高校生たちの取り組みを取材し、それがきっかけとなって、交流が始まったものです。
本来の目的は送り手としての「リテラシー」を高めることにほかなりません。
「リテラシー」は「ニューメラシー」(数学的素養)に対し、「読み書き能力」を意味する一般的な言葉であるから、情報を正確に獲得し、発信していく私たちの使命を果たしていくのに必要な「能力」を表す語として便利に使ってきました。
受け手側のメディアリテラシーへ
「メディア・リテラシー」を語る文脈で、松本サリン事件当時のテレビ信州の「慎重姿勢」が指摘されますが、それには伏線がありました。
「富山長野連続女性誘拐殺人事件」です。
冤罪事件の典型例とされている事件ですが、この事件を扱った読売テレビの報道ドキュメンタリーがいくつもの賞を獲得したのに対し、地元の事件でありながら、筆者自身も、この事件を番組にまとめることができませんでした。
当事者である私たちの場合、事件報道に対する検証は、取りも直さず、自らを対象とすることになるのであって他人事ではありません。
個々の報道事例に対する反省はあったし、「実名か匿名か?」「現行刑事訴訟法から見たら・・・?」等々、幾度となく報道部内で討論していました。
しかし、番組を制作するまでには至りませんでした。
そんな思いが、後に松本サリン事件に対する「テレビ信州の姿勢」につながり、松本美須々ヶ丘高校の放送部との交流、即ち「受け手側のリテラシー」との融合につながっていったのです。
年表 ~これまでの「メディアリテラシー」~
1995年
6月
「白い霧の標的~松本サリン事件から1年~」放送
1997年
6月
「犯人にされた私~松本サリン事件から3年~」放送
1998年
6月~
松本美須々ヶ丘高校放送部のメディア・リテラシー授業に協力
1999年
1月
総務省メディア・リテラシー教材等の委託研究に制作協力
  6月 「高校生が見たテレビ報道~松本サリン事件から5年~」放送
2001年
2月24日
「メディアの木霊」放送
  3月5日 「検証 松本サリン事件報道-苦悩するカメラの内側-」刊行
  3月30日 東大メル・プロジェクト来社
  5月18日 梓川高校ワークショップ、5月21日ゆうがたGet! プラス1で放送
  7月9日 須坂高校で授業、7月10日のゆうがたGet! プラス1で放送
  7月19日 民放連のメディア・リテラシー・パイロット研究にテレビ信州が指名される
  7月30日 ゆうがたGet!プラス1で「参院選の裏側見せます」放送
  8月22日 メディア・リテラシー社内研修
  8月27日 長野西高で授業、8月30日のゆうがたGet! プラス1で放送
  10月2日 三郷中学で授業、10月18日のゆうがたGet! プラス1で放送
  11月 テレビ信州の2002年度メディア・リテラシー活動に対して県教委の後援決まる
  12月 次年度メディア・リテラシー授業実施希望団体公募
  12月28日 三郷中学校から「テレビって何だろう?」生放送
2002年
1月8日
松本市清水学童クラブで授業、1月23日のゆうがたGet! プラス1で放送
  1月18日 メディア・リテラシー授業説明会開催(中・高24校の応募)
  2月 テレビ信州とメル・プロジェクトでメディア・リテラシー授業実施団体の審査・決定
  3月9日~10日 民放連メディア・リテラシー・プロジェクト研究報告
  3月23日 「一緒に作ってみたら~メディア・リテラシーの実験的実践~」放送
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